2025年あけましておめでとうございます 1月19日関西コミティア72出ます B-46

5話 幸原果名/Ready Go!

あらすじ

「……勝行、気持ちいい……」
「すごいね、瞬くんの、これ……」
耳元から離れないあの声が、己を甘く誘う。野外フェスライブ、WINGSのステージ。マイク越しに響く推しの声を聴いているうちに、我慢できなくなってしまった。トイレで自慰していたら、なんと推しの声がすぐ耳元に――!?
閑話休題。野外フェスで実る恋もある。――その出会いが、少しばかり歪んでいても。

切ない系BL作家でおなじみの果名さんがあえて挑戦する「えちえちハッピー♥推しごとBL」です。これは同人誌ですから!同人誌ですから!(声を大にして叫ぶ)

著者:幸原果名

*** *** ***

「……夏フェスに出場することが夢だったんだ。WINGSを応援してくれてありがとう! みんなで盛り上がって、めちゃくちゃ熱くなろうぜ!」

眩しい光が降り注いで熱気溢れる午後──。

大沢瞬(おおさわしゅん)はその光が届かない公衆トイレの個室の中で喘いでいた。
そう。今、彼は澄んだ瞳で背筋を伸ばし、観客の憧れの眼差しを一身に受け、堂々としているはずだ。
相羽勝行。同じ年とは思えない光の側の人間だ。光。その単語に瞬は舌打ちする。忌々しい。勝行の隣にいることが当たり前のように微笑んでいる相方。一気に萎えかけたところにまた勝行のトークが響いた。

「……では、次の曲に行こうと思います!」

始まった。勝行の甘い艶のある声が伸びやかに広がり、場がまた盛り上がっていく。大好きな勝行の姿を見られないのは仕方ないが、この声でイクのが好きだ。まるで勝行に抱かれているかのような錯覚。ふわりふわり。とても気分がよい。

相羽勝行を知ったのは音楽好きの従弟の壮(そう)に連れていってもらったライブ会場だった。それまで流行りの歌のひとつも知らなかった瞬が一目で心を奪われたグループがWINGSだった。特に相羽勝行の声。その存在感と圧倒的な美しい声に一目惚れした。
壮はとても興奮していて彼もまたWINGSの熱烈なファンだった。昨今のアイドルとは違う本物の匂いがする、と何度も言われ、確かにこれまで壮の言っていたアーティストはメジャーデビューをし、大物になっていったな、と感心していた。
その晩。瞬は勝行の声を思い出しながらベッドの上でオナニーをしていた。

──瞬、気持ちいい?
「うん……勝行、気持ちいい……」
耳元から離れないあの声が瞬を甘く誘う。
──イッていいよ……ほら。
「か……つゆき……! 勝行!」

瞬は激しい快感に全身をびくびくと震わせた。それは今までで一番の快楽だった。
それからだった。勝行の声を思い出してはオナニーに浸る。それが癖になってしまった。

壮から名立たる大物が揃うBサマーロックにWINGSの出演が決定し一緒に行くか、と問われた時、二つ返事で喜んだ。勝行の姿をまた見ることができる。またあの声を生で聞くことができる。そう思っていたのに、出番が近くなってくるとそわそわし、壮に断りを入れステージ裏のトイレに走った。そう、勝行の声でイキたくなってしまったのだ。

「勝行くん……勝行くん……」
──僕みたいな陰キャと違う、本物の王子さま。その王子さまの声が今ここに聞こえてる……!

瞬の両手は速くなっていく。
「……えっ? あっ!」
興奮して背にしていた個室の鍵が外れて、瞬は外に転がり出ていた。人がいないからいいようなものの下半身を勃たせたまま露出していたらこれではただの変態だ。膝を突いて立ち上がろうとしたその瞬間──。

「……えっ?」
「……あ」

髪を緩く結んだ美人男性が入ってきてしまった。互いに目が合い、それからその男性の視線が股間へと移る。瞬は慌ててジーンズのファスナーを上げようとした。

「…………!」

【続きはアンソロジーにて♥(冒頭からエッチなので少な目でごめんね)】