WINGS ファーストアルバム
「両翼少年協奏曲」3話、4話にて登場。
高校3年春~夏にかけて制作。プロモーションビデオが三日間だけ渋谷のスクランブル交差点で流れ、そのPV効果とラジオ宣伝だけで販売することになった一作目。
二人のビジュアルを全面に押し出したCMとPVのおかげでアイドル好きの一般人に人気が出始めるのはこの頃から。
ただ、制作中に今西光は何度も体調を崩して入退院を繰り返し、相羽勝行は大学受験を控えていたため、アルバムを発売する頃には活動を休止させられていた。光はそのまま一か月の検査入院。夏休み中にアルバムお披露目ツアーを予定していたが断念。結果としてCDだけがそれなりに売れて終わった。
渋谷の交差点を見下ろす大型ビジョン。そこに初めて映し出されたビジュアルを、足を止めて見入る人間がちらほらといる。
可愛さの残るあどけない表情の少年が、誘うような仕草でこちらを見つめながら、アカペラで甘い歌声を響かせる。時差でその伴奏が流れ始めた途端、ロックテイストのベースギターに合わせてシンセサイザーの軽やかなメロディが踊るように走り出した。
空中で弾ける楽し気なサビパートが終わるや否や、しっとりバラードのピアノ曲にかわり、空を眺める二人の少年のシルエットが、手を絡め合いながら離れていく。
あっという間に印象が変わるCMを見つめていた何人かの通行人が、スマホを取り出した。
【WINGSWEB】の文字と共に映し出されるのは、眼力の強い綺麗な顔立ちの美少年。気だるそうな表情の中、スローモーションで開いた口元からちらりと見える舌が、ねっとりと動いて妖艶な色気を漂わせる。最初に映し出された少年とはまた違う、あやうい雰囲気に、雑踏の中から小さなどよめきが湧き出した。
パーツばかりのアップで、容姿の全容は全く明かされない。
それはまるで新鋭アイドルのような――モデルのような――
けれどそれは、ロックバンドのファーストフルアルバムの発売日を予告するテロップで終わりを告げる。
「あれは誰?」
瞬く間に人の手によって情報拡散されていくそのCMの動画が、大型ビジョンで流れたのは、盛夏の三日間のみだった。
このボイスドラマのために作曲していただいたオリジナルBGMの楽曲は、すべてこのファーストアルバムの楽曲を想定して作っていただいたものです。
作曲は鈴木フータ氏。爽やかな曲の中に、今西光の心の機微を沢山取り込んでくださいました。全楽曲を聴いてみたい方は、ぜひボイスドラマ「りんごあめと白雪王子」をご視聴ください。(こちらのPVのBGMも鈴木さんが作ってくださったWINGSの楽曲です)
このアルバムの中に、「Over the clouds」という楽曲も収録されています。
この歌は歌詞があり、その殆どを今西光が作ったとされています。
届かないその手を歌にかえて/桜楓音月アンソロジーより
歌詞がのってます
WINGS WEBって……サークル名とか、サイト名じゃなかったの?
って思われるかもしれませんが、彼らの公式ホームページ、およびファーストアルバムの名前として作ったのが先です(笑)私がサークル活動する時に間借りしております。WEBはいろんな意味が混じった造語。
つまりここは、創作上のWINGSたちが運営しているサイトと同じなのです。管理人は相羽家の手下の誰か。